流動化処理工法研究機構

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工法の概要

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工法の概要

原料土の仕分け管理 / 選別受入れ管理

流動化処理土の品質(強度と材料分離抵抗性と流動性など)は、主として土の種類とその物理的性質(細粒分含有率など)と固化材の種類の影響を受ける。そこで土の種類と物理的性質と固化材の種類が同じ条件のもとで所要の品質を確保する配合(土と水と固化材の量)を求める。

発生土のストックヤードでは、配合条件を確保するため原料土を適切に仕分けて管理し、室内配合試験と同じ条件の土を製造現場に供給する必要がある。このため原料土の仕分け作業は、品質のバラツキに直結するので経験豊富な担当者を配置することが重要になる。

同じ種類の土を適切に仕分けるには、例えば、①掘削場所(または堆積土の名前),②掘削工事(杭工事やシールド工事など),③ボーリング柱状図に示された土質区分名,④物理試験結果,⑤有機物や混和剤や人工粘土などの混入状況などの履歴について、情報を入手する必要があり、 特に、汚染土壌の混入や強度発現等に影響を及ぼす物質の有無についても、予め調べておく必要がある。

ただし、発生土保管用のヤードは場所と用地、また貯泥施設は場所と用地と設備、などに制約をうけるので、結果として仕分け作業は難しく施工上の工夫が大切になる。

配合設計 / 配合修正

『配合設計』は、用途と工事条件を踏まえて流動化処理土の品質仕様(強度・材料分離抵抗性・流動性)を決めることから始まる。 参考のため各品質の数値と性能を表に示す。
各品質の設定は「流動化処理土利用技術マニュアル」を参照されたい。

『配合試験』は、原料土の土性に応じて2つの配合設計の方法がある。ここでは、原料土が適度に砂分と粘土分を含む場合を紹介する。 はじめに原料土と水を混ぜて3から5種類の密度、例えば、1.45、1.50、1.55、1.60t/m3になるよう計算で土と水の量を求め試料泥土を製造する。 次に、この泥土1m3に添加する固化材80kg、100kg、120kgを試料泥土の量に対して換算し、試料泥土に加えて流動化処理土を製造する。

この流動化処理土についてフロー試験とブリージング試験と一軸圧縮試験を実施して、その結果を図にプロットすると、以下の配合設計基準図が作成される そして『配合設計』の設定値として、例えば、フロー値180mm~300mm、28日養生強度を想定した7日養生の強度150kN/m2~400kN/m2の範囲を図の中で囲う。

最後に『配合決定』を行う。 図の場合、フロー値と強度の品質を同時に満たす範囲は泥土密度1.37~1.51g/cm3なので、この原料土を使うときの泥土1m3当たりの土と水の配合は中心値(1.44g/cm3)から割り出し、固化材の配合は80kgとして決定する。 なお、図に示される泥土密度の範囲は、製造時の品質管理の際、泥土密度の許容範囲として使われる。

また、配合設計基準図を作成しておくと製造した泥土の密度が変動しても、図を使い強度を安定化させるための固化材の『配合修正』が可能になる。

製造方法と品質管理

『製造方法』は、連続式とバッチ式の2方式がある。連続式の特徴は、土と水(と固化材)を連続して供給するので製造能力と効率がよくなる。 反面、原料土の土性のバラツキにより品質もバラツク傾向がある。

バッチ式の特徴は、土と水(と固化材)をバッチ毎に供給するので、土の性質に応じて配合の変更が容易になる。発生土を使う流動化処理土の製造方法は、このためバッチ式が主流となっている。 バッチ式の特徴と利点を表1に、製造の流れを右下の図にまとめた。

図に示すように製造方法は、土と水を加えて解泥して泥土を製造する工程と固化材(及び砂質系の土)を加えて混練する工程に分かれる。 このうち解泥作業が最も労力を必要とするので、大量に流動化処理土を製造するときは、例えば、予め水と土を体積計量し解泥槽で泥土を製造(写真1)し、貯泥タンクを設けて貯蔵しておく。

『品質管理(写真2)』は、泥土と流動化処理土についておこなう(「流動化処理土利用技術マニュアル-表-4.5 流動化処理土の標準的な品質管理方法」参照)。

なお、前述したように異なる種類の土が混ざると配合の適用性が失われるので、土の受け入れ時に仕分けまたは選別をしておくことが品質管理の前提条件となっている。

図2に機構の会員が品質管理を実施したときの強度の結果を示す。28日養生の目標強度は400kN/m2で、結果はほぼ同程度の値になっている。 分散の度合いは、目標強度に対して±200kN/m2の範囲(変動係数20%程度)に収まった。

品質(強度と材料分離抵抗性と流動性など)を不安定化させる要因は、主として原料土の含水量と粒度の変動にある。 このため製造段階の品質管理として密度測定に加えて粘度(粘性)測定を併用すると土の含水量や粒度の変動が一定程度把握できるので効果があがる。

粘度(粘性)測定はフロー試験(写真3)を使う。製造現場での目標とするフロー値を決めて、泥土の品質管理では目標値に対して、例えば、±20mm程度の範囲になるよう調整管理する。

この粘度管理は、固化材を加えた流動化処理土にも適用できて、例えば、図3に示すようにブリージング率とフロー値には相関関係があり、関東地方の沖積粘土(細粒分含有率Fc=50%以下)の原料土を例にとると、製造した流動化処理土のフロー値が350mm以下であればブリージング率が1%程度以下になることが分かる。 そこで製造された流動化処理土についてフロー値を測定し、結果を製造工程にフィードバックすることブリージング率の品質を調整管理することができる。

運搬と打設

『運搬』は、運搬中の振動で泥土表面にブリージング水が発生したり、泥土中で砂礫分が沈降したりする可能性があるので、また、時間が経過すると水和反応が進みフロー値が低下するので、通常、コンクリートの運搬に使われるアジテータ車を使う。 アジテータ車以外で運搬するときは、荷卸しの開始直前と終了直前に流動化処理土の密度を測定し、その差が±0.05g/cm3(ブリージング試験においてブリージング率1%相当)以下であることを事前に確認する必要がある。

運搬中の材料分離が小さいことを条件として、以下の表に示す運搬車を選択することもできる。

『打設』は、コンクリート打設と同様にポンプ圧送(写真左下)と直接投入(写真中下)がある。

ポンプ圧送は、一箇所から流動化処理土を広い範囲に打設できる長所がある。 直接打設は、打設現場の作業スペースに制約が少ないとき有効で、埋設管の埋戻しや共同溝の頂版部の埋戻しなどに適している。 このときホッパー(写真右下)を使用すると、打設箇所を正確に管理でき、流動性が小さくても施工がし易くなる。

水中打設は、トレミ管等の筒先を絶えず流動化処理土の表面下に留めるような施工上の工夫をすると、水中での分離を防ぐことができる。