□ 解説5


密度の高い、比重の大きな流動化処理土は作ることができるか、また、なぜ、密度の高い方が優れているのか?

 ですが、我々は努力すると、比重の大きい密実な流動化処理土を造ることは確かに可能であることは間違いありません。ところで、昔から「土は良く締め固めろ」と言われてきました。さて、新しい土とコンクリートの「間の子」的材料である流動化処理土についても、その伝統的教訓が当てはまるのでしょうか。
 コンクリートでは円柱形の供試体を軸方向に潰す「圧縮強度」が設計に用いる力学的指標として活用されてきました。地盤・土質工学でも同じ手法の試験を、あえて「一軸圧縮試験」と名付け、試験が簡便である故に、その破壊強さを「一軸圧縮強さ、qu」と呼んで、それを設計・品質管理に便利に使ってきました。しかし、同時に我々は難しい設計条件での検討には、所要の拘束圧下での破壊挙動を知るための「三軸圧縮試験」に頼ってきたのも、コンクリートの場合と違った特徴的事実です。


 この違いを質すにはコンクリートが主に、構造部材を造るのに用いられる強度の高い材料であるのに対して、現時点においては、流動化処理土はやはり在来工法での施工ができない場合の、盛土、埋戻し・充填を期する盛土、あるいは地盤を構築する材料であるとの、性格の違いを先ずはっきりと認識すべきであると思います。
 梁や柱、版を主体とする構造部材の設計には曲げ、挫屈、圧壊に対する抵抗力を知らねばなりません。その際、コンクリートでは、実用上、簡便な圧縮試験による破壊強度から類推される曲げ強度で判断できますが、一方、土の場合は盛土、地盤が上載荷重を支え得るか否かの、その支持力の判定が求められます。

1  2   3  4 ->NEXT