□ 解説4


本当にどんな「泥土」でも固めることができるか?

 しかし、試験の済んだ上水汚泥供試体を、室内に放置しておいて、自然に乾燥すると、当初のどす黒い色が失せて、驚くほど真っ白になりました。考えてみれば、この汚泥の中の固体分の占めた体積は0.1%にも達せず、残り総てが水分だったわけで、僅かな汚泥中の固体分と、相対的に多量な固化材と水によって構築された、繊維状に絡み合った多孔質な構造組織によって相応の強さの固体状を保っていたことになり、乾いた後の色の白さは、まさに量のはるかに多かった固化材の白さが際立ったわけでした。 


 これ程ではなくとも、細かい土粒子を豊富に含んだ粘性土から作った泥水のみにセメント系固化材を混合し、狭い空間にも流し込み易い流動性を持たせますと、固まった処理土の比重(湿潤単位体積重量/水の単位体積重量)は1.2〜1.3程度なのが普通ですが、各成分の占める体積の割合を計算してみますと、8割強が水で占められる間隙であることが多く、実質的な固化材と土の固体分の占める体積の割合は、僅かに2割に足りません。

 

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