□ 解説1


盛土などの土構造物の築造には締固めが不可欠であるが、それを妨げる特殊事情が日本では多すぎる

 このように、土は良く締め固めた方が良いと知りながら、それが適えられない現場条件が多すぎるのに慣れてしまった我々は、施工者達の不充分な出来映えを、ただ、単に”施工が悪い”と責めるだけで凌いでいた傾向があったのではないでしょうか。
 特に(3)の都市土木に多い埋戻し・充填の場合には、品質基準で一般の盛土工と同等の締固め度を規定しても、これまでに得た盛土の締固め技術では、それを満たすのは不可能な場合が殆どであることを、技術者であれば当然、知っていたはずです。


 結果として不十分な締固め状態で埋戻された土砂が、地下水の流動、あるいは上水道の漏水になどによって浸食され続けて、やがては街路の路面陥没に繋がりかねない空洞が、都市の地下に発達し続けている実態に目を反らせることは許されません。事故が発生してから、建設業者の欠陥施工と非難するのは筋違いなことです。

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