□ 解説1


盛土などの土構造物の築造には締固めが不可欠であるが、それを妨げる特殊事情が日本では多すぎる

 昭和20年代半ば、敗戦直後の日本は、全く遅れていた機械化土工の黎明期でした。土の締固めの先進技術を貪欲に学んだ私達は、日本の最初の本格的高速道路の建設であった名神を含めて、多くの現場で締固め施工をたっぷりと体験する機会に恵まれました。そして良質な土を適度な水分状態で、適切な締固め機械でよく締固めると、非常に安定した支持力のある盛土、路床・路盤などの土構造物を造成できることを身に沁みて体験し、心底から理解することができました。
 また、それと並行して、彼等の知識では克服し得ない日本の気象、土質に起因する特殊性の存在を知り、各地での、多くの締固め施工に接している内に、何となく外国から導入された立派な締固め・転圧機械が、十分に機能を発揮できない、次に列挙するような条件の現場が、日本には多すぎるとの不安を感じ始めていました。
 


例えば次のような現場事例に当たって、私達はどう対応してきたでしょうか;

(1)

先進欧米諸国には見られなかった、関東ロームなどの、土工機械が土をこね返すと、非常に軟弱化する高含水比火山灰質粘性土に遭遇することが多い。

(2)

山地の多い日本は、地形、水系、都市環境が複雑に入り組んでいて、大型土工機械が効果的に稼働できる作業空間に恵まれず、土工の施工効率が悪い

(3)

日本の大都市では、各種ライフラインの埋設、地下鉄の駅舎、共同溝等の複雑な形状の構造物の埋戻し・充填に適した多量な良質な砂質土に恵まれず、それら狭い空間へしっかりと土を締固める適当な方策が見当たらなかった。

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