流動性 |
|
流動化処理土は『流動性』をもつので締固めが不要となる。
狭い空間や形状の複雑な箇所でも容易に埋戻し充填が可能で、また、締固め施工が難しい水中の施工もできる。ポンプによる圧送・打設が可能なので施工の大幅な省力化を図ることができる。
流動化処理土の『流動性』は、概ね3段階に分けることができる。
第一段階は、フロー値で概ね110mm(写真1)〜160mmのあいだで、この範囲では打設した流動化処理土は自重で降伏し扁平に広く周りに広がる、いわゆるセルフレベリング状態にはならない。
フロー試験の結果を観察しても扁平にはならず山形を呈する。
写真2及び3は、旧建設省土木研究所で実施した実験で、5条6段に組んだ多条埋設管にフロー値110mmの流動化処理土をホッパーで打設した様子を示す。
フロー値110mmは、写真1に見るように必ずしも扁平性は呈していないが、実験では5mm間隔の埋設管の間に流動化処理土がくまなく流れ込み確実な充填が確認された(写真3)。
これは、先に打設された流動化処理土が後から打設された流動化処理土の荷重で押し流されて、セルフレベリングの流動性でなくても狭隘な間隙が充填された、と考えられる。
第一段階の流動性は、発生土の利用率を向上させるために土を多く水を少なくした配合設計だが、低い流動性でも施工の工夫次第で埋戻し充填の性能を確保することができる。 |
.jpg) |
第二段階は、フロー値160mm(写真4)〜250mmの範囲で、現場で打設された流動化処理土は1〜2%の勾配を伴い流れ広がる。
写真5は、廃坑の埋戻しの様子で、埋戻しの範囲を仮設の仕切り壁で囲うことができないようなときは、配合により勾配を調整することで不要な拡散を抑制できる。
路面下の空洞充填や水中打設(水中での勾配は気中より高い値になる)など流動化処理土の広がりをコントロールするようなときに役立つ。 |
.jpg) |
第三段階は、フロー値250mm〜400mmの範囲で、例えば写真6のようにフロー値300mmの流動化処理土を打設すると広い範囲にほぼレベリング状態で流れ広がる(写真7)。
すると打設位置の移動が少なくなるので施工が容易になる利点がある。
なお、流動性の上限は、ブリージング率の設定値から決まり、ブリージング率1%程度を上限とするのであれば、フロー値は400mm程度が限界になる。
|
.jpg) |
このように流動性を調整することで様々な用途の埋戻し・充填・裏込めに使うことができることが特徴としてあげられる。 |