(7)高強度の流動化処理土の例

 

 営団地下鉄南北線の建設に当たって、図−9に示したような複線シールドの軌道下の半月形の空間(インバート部)の充填に当たって、従来は捨てコンクリート(圧縮強度100Kgf/cm[10MPa])を用いていたのを、建設副産物の有効利用の一環として、泥水シールド工事で発生する泥にまみれた山砂を用いた高強度の流動化処理土の使用を試みられた結果、圧縮強度、7〜8 MPa 程度の流動化処理土を作製しうることを確かめて、実荷重の繰り返しにも耐えうる実験の検証を得て、本工事に採用されています。泥まみれになった掘削砂でも、これ程の強度が出るとは思いませんでしたが、これで、コンクリートに準じたものも作れる自信を深めました。

 

 かって、原子力発電所などの重要構造物の埋戻しに用いられた、マンメイドロックの名の「人工岩盤」、また、東京湾アクアラインの水中盛土のような、良質な砂、精選された粘土泥水によって、先人が製造された「事前混合盛土」の実例から見ても、流動化処理土は配合次第で、我々の想像を超えた、普通の地土程度のものからコンクリートに準ずるものにまで、広範な多様な性能を持つ、目的に応じた「土を主体とした新しい構造材料」となりうる可能性を感じています。

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