□ 解説2


どんなに努力しても締固めが難しい場合はどうしたらよいか?
 「コンクリート」を真似て「土のコンクリート」を作る試み

 「締固め」が難しいのならば、最初から「締固め不要な」工法を模索すべきだと、私達は昭和60年少し前頃から思い始めました。
 すぐ身近に良いお手本がありました。狭い型枠の中の複雑に配置された鉄筋間に、本当はもっと水分が少ない方が良いのに、セメントと砂、利砂を、仕方なく泥状に配合して流し込んでいるコンクリート工事でした。 
 


 ですからコンクリートでも、なるべく添加水分の少ないものが望ましく、広い作業空間に恵まれたダム工事やコンクリート舗装では、ちょうど湿った砂礫質土のようなコンクリートを、土の場合と同じ転圧機械で締め固め始めたではありませんか、それならば、その逆を行って、種々な配合の流動性のある「土のコンクリート」を作ってみよう、それなら、狭い空間でも締固めが不要な打設ができるはずではないかとの無謀な思いつき、それが「流動化処理土」の原点でした。


 強いコンクリートに用いる砂、砂利では、それを汚す粘土っぽい土が混ざっていてはいけないと習いました。しかし、土構造物はコンクリート程の強さは要りませんから、いっそ、粘土、シルトのたっぷり入った泥水に、砂や礫を混ぜ、それにセメントや石灰などの固化材を配合すると、どんなものができるか試み始めたのが「流動化処理工法」の発端でした。幸いにも、その頃、非常に多量な水を含んだ泥でも、固化させることが可能なセメント系の固化材の開発が進んでいたのも好都合な刺激になりました。

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